繰り下げ受給の是非

 ヤフーの年金関係のニュースを見ていると、年金を少しでも増やすために、未納期間がある人は、その未納期間分の額を納入するという方法が解説されています。

 この方法は、資産に余力があるなら結構魅力的な方法だなと思っています。ただ余力がないのに、年金額を増やすために手持ちの資金の一部を使ってしまうと、逆に生活が苦しくなる場合もありそう。

 その意味では、いくら収めてどのくらい年金が増えるのかと言うことをあらかじめ知っておく必要もあります。

 というわけで、退職の時期が近づいたら、一度年金事務所に行ってみるのがおすすめ。そこで将来の年金額や未納期間があった場合の納付、納付された場合の増額等の話を聞くことが出来ます。

 また私の場合は、早期退職後に国民年金保険料の納付が必要と言うことが分かりましたので、その納付方法について直接年金事務所に行ってみました。

 するとその場で、保険料の減免を受けられることが分かりましたので、行って良かったなと思っています。

 というわけで、出来れば退職前に将来の年金についての概要を年金事務所に聞きに行くと良いと思います。

 担当者によるかもしれませんが、こうすれば年金額が増えるみたいな方法を教えてくれることもあります。

 次に、良くニュースで話題になっているのが、人生100年時代を迎えて、年金は繰り下げ受給した方が良いという記事。

 こういう記事が増えると、あまり深く考えずに、そうかそれなら俺も繰り下げ受給にしようかと安易に手続きをしてしまう人が増えそう。

 ちなみに繰り下げ受給が勧められる最大のメリットは一か月受給を遅らせると支給額が0.7%増えると言うのが最大の利点。

 と言うことは65歳で受け取る場合の老齢年金の受給額が一か月5万円だったとすると、これを66歳から受給することにすると、1年間で0.7×12=8.4と言うことになるので、8.4%増えることになります。

 ということは50000×1.084=54200円に増えると言うことです。もし現在の繰り下げ制度を最大限活用して70歳まで受け取りを我慢すれば、8.4×5=42%増えることになり、受給額はなんと7.1万円になります。

 そういった数値を根拠にして、年金額をアップさせる方法の一つとして提案されている記事が増えているわけですが、当然ながらこれにはからくりがあり、そのことを知っていないと後悔します。

 要するに誰もが80歳、90歳まで生きられることが分かっていればいいのですが、受給額が増えるのを待っている間に自分自身の命が尽きる可能性もあるわけです。

 また、65歳から年金を受給すれば、70歳になるまでの5年間、その年金を使って生活できます。ということは65歳から受給する場合と70歳から増えた年金を受給する場合、その受給総額が一致するのは何歳かという計算が出来ます。

 これについては電卓で簡単に計算できますが、ネットの情報ではその損益が逆転するのは82歳と書かれています。

 つまり82歳までは65歳からの受給が得。それ以降は繰り下げた方が得という結論になります。ということは、自分は健康で体力に自信があって82歳以降まで生き抜けそうだ。

 さらに現在は資産もそこそこあるので、65歳から70歳まではその資産を活用して生活できるという自信があれば、繰り下げ受給の方が得ということになります。



繰り上げ受給の是非


年金制度で知っておくべきこと


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